ほんとうはこわい「やさしさ社会」
やさしさって何だろう。bonlifeです。平易な言葉で書かれていてとっても読みやすい本。高校生向け?
- 作者: 森真一
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/01/01
- メディア: 新書
- 購入: 4人 クリック: 53回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
自分用に簡単にメモ。
- 「やさしいきびしさ」から「きびしいやさしさ」の時代に
やさしいきびしさ | きびしいやさしさ |
---|---|
古いやさしさ | 現代のあたらしいやさしさ |
やさしさにもとづいて相手に厳しく接する | いま傷つけないことに全力を尽くす |
傷はいつか治る、という前提 | 傷は癒すことができない |
治療的やさしさ | 予防的やさしさ |
- 「きびしいやさしさ」は効力のあるルール
- 公式のルールよりもはるかに実効性がある非公式のルール
- 近代社会は共通性が欠如し、「人格崇拝」
- 対等性の原則
- 上限関係を嫌う (特に内輪では対等性を強く求める)
- 縦の差異を横の差異へと変換 (「趣味が違うから」)
- 「キャラがかぶる」恐怖 (上下関係の発生に対する恐怖)
- 一度きりの人生
- 「川」の人生から「水たまり」としての人生へ
- 国家、企業、家庭などへの帰属意識の低下
- 楽しさ至上主義
- 集団で楽しむ技術が高度化している中、そのレベルについていけない人は空気読めない「痛い」ひと
- 能力開発への情熱
- 関心の「上昇」が「低下」のイメージをつくる
- 学力低下、コミュニケーション能力低下、モラルの低下 etc.
- 関心の「上昇」が「低下」のイメージをつくる
- 現代人の自己はすぐに傷つく「腫れもの」「こわれもの」「爆発物」
- 〜しないやさしさ (伝わりづらい)
- 他者を傷つけないためには慎重にならざるを得ない
- 電車で座席を譲ることを「しない」 (相手の個性の尊重)
- 「他人のことにかまうな」という非公式のルール
- 他者を傷つけないためには慎重にならざるを得ない
- 「内集団」と「外集団」での思いやりの落差拡大
- 電車内で迷惑行為をして団結
- 人生は楽しいことばかりじゃない
- マスメディアのメッセージが楽しむことを義務化
この本を読むと、結構クリアに現状を認識できるようになると思います。ただ、この本には、最後に書いてあるように、現状分析にもとづく課題の指摘のみで具体的な「解答」は書いてありません。本を読んだだけで日々の生活を変えられるわけないので、OKOK。楽しさ至上主義の息苦しさからは脱出できないですよ。楽しくない日々をそのまま受け入れるのって難しいもんなぁ。平凡な人生(bonlife)をそのまま受け入れちゃったら、それはそれで人間らしくない気もするし。といった感じで全くまとまりませんが、そんな印象です。「やさしさ」って切り口は新鮮で素敵。