ほんとうはこわい「やさしさ社会」

やさしさって何だろう。bonlifeです。平易な言葉で書かれていてとっても読みやすい本。高校生向け?

ほんとはこわい「やさしさ社会」 (ちくまプリマー新書)

ほんとはこわい「やさしさ社会」 (ちくまプリマー新書)

自分用に簡単にメモ。

  • 「やさしいきびしさ」から「きびしいやさしさ」の時代に
やさしいきびしさ きびしいやさしさ
古いやさしさ 現代のあたらしいやさしさ
やさしさにもとづいて相手に厳しく接する いま傷つけないことに全力を尽くす
傷はいつか治る、という前提 傷は癒すことができない
治療的やさしさ 予防的やさしさ
  • 「きびしいやさしさ」は効力のあるルール
    • 公式のルールよりもはるかに実効性がある非公式のルール
  • 近代社会は共通性が欠如し、「人格崇拝」
  • 対等性の原則
    • 上限関係を嫌う (特に内輪では対等性を強く求める)
    • 縦の差異を横の差異へと変換 (「趣味が違うから」)
    • 「キャラがかぶる」恐怖 (上下関係の発生に対する恐怖)
  • 一度きりの人生
    • 「川」の人生から「水たまり」としての人生へ
    • 国家、企業、家庭などへの帰属意識の低下
    • 楽しさ至上主義
      • 集団で楽しむ技術が高度化している中、そのレベルについていけない人は空気読めない「痛い」ひと
  • 能力開発への情熱
    • 関心の「上昇」が「低下」のイメージをつくる
      • 学力低下、コミュニケーション能力低下、モラルの低下 etc.
  • 現代人の自己はすぐに傷つく「腫れもの」「こわれもの」「爆発物」
  • 〜しないやさしさ (伝わりづらい)
    • 他者を傷つけないためには慎重にならざるを得ない
      • 電車で座席を譲ることを「しない」 (相手の個性の尊重)
      • 「他人のことにかまうな」という非公式のルール
  • 「内集団」と「外集団」での思いやりの落差拡大
    • 電車内で迷惑行為をして団結
  • 人生は楽しいことばかりじゃない
    • マスメディアのメッセージが楽しむことを義務化

この本を読むと、結構クリアに現状を認識できるようになると思います。ただ、この本には、最後に書いてあるように、現状分析にもとづく課題の指摘のみで具体的な「解答」は書いてありません。本を読んだだけで日々の生活を変えられるわけないので、OKOK。楽しさ至上主義の息苦しさからは脱出できないですよ。楽しくない日々をそのまま受け入れるのって難しいもんなぁ。平凡な人生(bonlife)をそのまま受け入れちゃったら、それはそれで人間らしくない気もするし。といった感じで全くまとまりませんが、そんな印象です。「やさしさ」って切り口は新鮮で素敵。